タイヤに入れる窒素ガスってどんなもの?
窒素ガスに含まれている窒素とは、無味無臭の不活性物質で、空気中の約80%が窒素と言われています。
空気を冷凍サイクルによって液化させると「液体窒素」となり、瞬間冷凍する際などに使われます。
空気中に存在している物質で、とても身近にあるものと言えるでしょう。
では窒素ガスをタイヤに入れることでどんなメリットがあるのかご紹介していきましょう。
窒素ガスを入れるメリット
・空気が抜けにくくなる
タイヤの気体透過率は窒素に比べ、酸素は約3倍ほど透過しやすいことがわかっています。
そのため、窒素ガスを入れたほうが、通常の空気よりも長く持つことになります。
(ゴムの素材や配合率、気温などの温度変化によって変動するため、あくまで目安としてお考え下さい)
・空気圧の安定化
空気は温度によって膨張し体積が変動する場合があるため、通常のエアーを使用して空気圧を調整する場合は、温度変化の少ない時間帯で行う必要があります。
(夏であれば気温の低い朝方、冬であれば気温の高い昼間、いずれの場合も走行前)
しかし、窒素ガスは他の物質と反応を起こしにくく、タイヤ温度の変化による体積の増減もほとんど無いため、常に安定した空気圧を保つことが出来きます。
・走行性能が安定する
熱による膨張が少ないことや、化学反応が起きないなどのメリットによって、常に空気圧が安定しているため、様々な局面で安定したドライビングが可能になります。
(空気圧が安定していないと、バンクをした時点でバランスを崩したり、ブレーキング時の停止距離に影響が出る場合があるため、大きいメリットです)
窒素ガスを入れるデメリット
・店舗で補充する必要がある
基本的に窒素ガスを自分で補充することは出来ません。(窒素ボンベや充填機を購入して行う方法がありますが、非常に高価で手間が掛かります。)
そのため、補充は窒素ガスを完備した店舗となりますが、遠くの店舗しか無い場合は補充の度に通うことになるので、非常に面倒です。
・窒素ガスの効果が薄い
窒素ガスは酸素に比べて気体透過率が低いですが、絶対に抜けないわけでなく、空気と同じ様に徐々に抜けていきます。
そのため、バイクに乗る回数が少ないライダーの場合、どちらを入れたとしても空気を補充する必要性があり、窒素ガスのメリットは活かせません。
・走行性能の差は誤差レベル
空気圧が安定することによって、走行性能の向上や安全性の向上は見込めますが、空気に勝っているのかと言われると大差ないというのが現状です。
しっかりとした走行性能を求めるのであれば、定期的な空気圧チェックと整備の方が効果は大きいでしょう。
窒素ガスを補充するのに向いているのは?
おすすめは、定期的に長距離を走行するライダーです。
長距離ライダーは、常にロングツーリングを行っているため、空気圧の安定化と抜けにくさはとても重要な項目になってきます。
常に走行しているバイクは、停車時間の長いバイクと比較して空気圧の減少が遅い傾向にあります。
常に走行しているライダーが窒素ガスを使うことによって、更に抜けにくいタイヤが完成します。