オーバーヒートとは
オーバーヒートとは、エンジンが熱を持ちすぎてしまったことにより、正常な動作が出来なくなってしまったことを言います。
エンジン内部は様々な材質の素材が膨張することを計算して設計されていますが、オーバーヒート状態になるとクリアランスが狂い、エンジン内の異常摩耗や損傷を起こします。
これを「焼付き」や「かじり」と表現したりもします。
また、水冷エンジンの場合はラジエター内部の圧力が上がりすぎてしまい、ラジエターキャップやリザーバータンク、ホースの隙間などから冷却水が溢れ出てしまう可能性があります。
軽度のオーバーヒートでは修理可能ですが、重度の場合はエンジンの交換を余儀なくされる場合もある危険なとても危険な症状です。
オーバーヒートの原因
バイクのオーバーヒートは冷却方式(空冷、水冷)によって様々で、構造的にオーバーヒートしやすいものや、整備不良、不具合などその原因は多岐にわたります。
ここでは空冷エンジンと水冷エンジンを比較しながら、原因を見ていきたいと思います。
「空冷エンジン」
冷却性能は走行時以外では低いので現行モデルで採用されることはあまりない。インジェクションモデルでは冷却が間に合わない(混合気が薄いため)
・オイルと風による冷却が基本となるため、走行時は問題ないが渋滞などの停滞時間が多いほどオーバーヒートが起きやすい。
・オイル性能の影響が大きく、ガソリンの気化熱を利用した冷却効果も絶大なため、薄い混合気ではオーバーヒートが起きやすい。
「水冷エンジン」
走行時、停止時共に冷却水とラジエータファンによって、安定した冷却が行えるためほとんどのバイクに採用されている。
・冷却水による冷却に、オイル冷却、空冷冷却もプラスされるので、圧倒的に冷却効果が高い。
・オーバーヒートの可能性は非常に低く、冷却水不足、ラジエータファンの故障など、ヒューマンミスや整備不良よるオーバーヒートが主な原因になる。
オーバーヒート対策 空冷エンジン編
空冷エンジンの場合は、オイル冷却効果と混合気の気化冷却が大きいため、この2つを見直しておく必要があります。
「オイル管理」
冬場はあまり神経質になる必要はありませんが、夏場であればオイル性能の高い100%化学合成油を使うことで対策することが可能です。
(化学合成オイルは高温耐性がとても高く、高温時でも冷却効果が落ちないため)
「混合気」
空冷エンジンはキャブレターモデルが多いので(一部インジェクションモデルもあり)混合気を濃くすることで、ガソリンの気化熱を利用した冷却効果を高めることが出来ます。
(キャブレターセッティングは走行性能に直結するものなので、正確な調整が必要です。)
オーバーヒート対策 水冷エンジン編
水冷エンジンの場合は殆どが整備不良、ヒューマンミスによるものなのでしっかりとした整備が前提となります。
・リザーバータンクを確認し、冷却水が減っていないか確認する(異常な漏れ、冷却水の量のチェック)
・冷却水は規定に期間で交換することが推奨されており、状況に応じてラジエターホース、キャップを交換します。
・化学合成オイルも冷却性能向上に一役買うのでおすすめ